20201205-20201211を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「質問する,問い返す」 名古谷 隆彦 ~最終回~

 

 

風が吹けば桶屋が儲かる

ではないですが,何かが生まれると,「思いもよらぬ?」副作用というものがあるものです

 

新型コロナ対策としてのファイザー製ワクチンの投与が,英国で始まりましたが,

既に副作用の報告がされています

他にも,リモートワークに欠かせない,ネットワークセキュリティ上の技術においても

その誤用や欠陥で,不正アクセスなどの事故が多数発生しているとのこと

 

これらのことが何を示しているか,と言えば,

「知って使うことの重要性」なのではないか,と思います

 

 

世の中,便利なものはたくさんあります

けれど,便利さ,には,裏の面もある

何事にも,「功罪」とでも言う,両面があるわけです

 

旧来の技術には,法的な面も含め,何らかの対策が打たれている場合が多いものですが,

新しいものについては,それが整備されていないケースもあります

それは,たとえば,あおり運転に対する罰則が,ようやく法制度化されたことからもわかると思います

そして,これは比較の問題ではありますが,

新しいものや,有用なものほど,リスクは高い面はある

 

それを知って使うのか,知らずに使うのか,では,大きな差が出ると,私は思います

既知の技術でも,それは同様です

たとえば,統計というものは,非常に有用ではありますが,

「統計だから」と,無批判に受け入れていては,かえって事を悪化させることもある

 

 最低限を知って使うこと

 

最低限を知っていれば,そこにあるリスクにも気づけるのだと思います

もっとも,何を最低限とするかは,難しい面もありますが

先の統計の例で言えば,たとえば,

「平均だけで示された統計は,気をつけて見ないとマズイもの」というような感覚を持てれば,

それだけでも随分と違う世界が見えてくる,と思います

20201128-20201204を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「質問する,問い返す」 名古谷 隆彦 ~第5回~

 

 

流行語大賞の結果や,昨今の第3波の状況を考えても,

今年1年が,コロナに振り回された年であったことを実感します

これだけ流行り廃りの激しい世の中で,

流行語大賞の受賞ワードが,これほどまで延命しているのですから,

本当の意味で「猛威」としか,表現できないものなのだと思います

 

一方で,ナゼこれほどまで,流行り廃りが激しいのか,とも思います

もっとじっくり,腰を据えて考えるべきことがたくさんあるはずです

 

これだけ流行り廃りが激しい理由の1つに,

社会のしくみの問題があるように,私は思います

ああなった,と言えば,こっちにふり,こうなった,と言えば,あっちにふり・・・というのは,

方針として一本筋が通っているのなら,それは「振れ幅の範囲」ととらえられるけれど,

あまりに場当たり過ぎて,そうとはとらえられない

今のコロナの状況などは,予想されていたことなのに,

さも初めて聞いたようなことになっているように感じる

 

 

背景にあるのは,

 希望的観測なのではないか

と,私は思います

 

でも本当に必要なのは,実現したい状態に対して,その実現に向けた方針を示し

その方針に準拠して,さまざまな施策を打っていくこと

 

社会にも個人にも,そんな態度が必要なのではないか,と思います

20201121-20201127を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「質問する,問い返す」 名古谷 隆彦 ~第4回~

 

 

プロ野球,Jリーグの,今期の覇者が決まりました

特にプロ野球は,ソフトバンクの圧勝

これを受けて,一部メディアでは,

セ・リーグは人気にあぐらをかいてきた,5年遅れている等々の取り上げ方がされています

 

そうなのかもしれないのですが,

では,具体的には,何をしたら良かったのか? 良いのか?

 

私が考える1つの答えは,徹底的にデータを使うことだと思います

どう考えても,ソフトバンクは,データを駆使しているはずです

 

ゲームのデータは,確実に,しかも高度に分析している他,

例えばスマホを選手に渡し,さまざまなデータを取得する

選手にどんな行動をすべきか,チャットなどを使って指示をする

一人ひとりに,「どうなれば,その道で食べられる」というアドバイスもしている

例えば155キロのボールを投げられるようになることで,それに合意したなら,

どの程度の筋力が必要になるか,そのために何をやるか,といったアドバイスがされる

 

ゲームの勝敗だけでなく,ビジネス面でも,当然利用している

チーム編成,つまり,誰を獲得し,誰を放出するか,とったことにも,データを使っている

そして,

チケット販売における,ダイナミックプライシングの活用や

ドーム球場の命名権の販売などもその活動の1つです

 

恐らくソフトバンクの選手たちにとって,

それらは「すべて,当たり前」の状態になっていると思います

だから,特別意識するような話でもない・・・

 

そこには,ソフトバンクが,グループ全体としてやろうとしている世界観がある,

と,私はとらえていますし,

ソフトバンクホークスとは,そのための,1つの実験の場でもあるのだとも思っています

そう考えると,楽天,DeNAなどがオーナー企業となっているのは,決して偶然ではないし,

単に金持ちだからでもないはずなのです

 

20201114-20201120を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「質問する,問い返す」 名古谷 隆彦 ~第3回~

 

 

予想されたことなので,驚く話ではないのですが,

新型コロナの感染が拡大しています

ただ,私の予想は,12月頭ぐらいからの爆発,だったので,

予想よりも早いものになっているのですが・・・

 

私が12月頭ぐらいから,と予想したのは,

この3連休で,人の動きが拡大するだろう,と予想したからです

既にこの時期に,連日,感染確認数の記録を更新しているということは,

11月頭の連休で,動き出したのかな,と

 

いずれにしても,恐らくですが,東京都だけで1000人という日はやってくるのだと思います

では,だからと言って,ビジネス活動を止めるか,と言われれば,

そういうことではないだろうとも思います

むしろ,これまでの間に,何を準備してきたのか,が重要なわけです

だって,予想できたことだから

 

 

今の時代,VUCAの時代と言われています

不安定で,不確実,複雑で,曖昧な時代

でも,そうではあっても,予想できることはある

たとえば,セキュリティリスクや温暖化ガス排出削減への取り組みの必要性は想像できる

VUCAの時代だから仕方がない,ではなく,

その中で仮説を立てて,打ち手を事前準備するぐらいでちょうど良いのではないか,と

私は思います

20201107-20201113を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「質問する,問い返す」 名古谷 隆彦 ~第2回~

 

 

日々得られる情報というものは,

それぞれが単独に存在しているように見えるかもしれません

ただ,その多くは,何らかのつながりの中にあるはずです

せっかくの情報ですので,

1つでもいいから,その情報の広がり,つながりを,吟味していくと,

その情報を,より有益なものにできるのではないか,と思います

 

 

ある企業の経営者の方は,

新聞のトップ記事と,社会面の記事とを,

無理矢理でもいいから,何らかのストーリーとしてつなぐことを,

毎日欠かさずやられていた時期があるとのこと

2つの記事の間をつなぐストーリーを,毎日1話ずつつくるのです

 

私もやっていたことがあるのですが,

世の中のことを知らないと,なかなか論理的につながるストーリーにはなりません

論理的につながるストーリーが書けないから,

その記事自体をよく読もうとするし,その記事に関連することを調べようとする

 

これを1年やり続けたら,知識も,そして論理的な思考力も

飛躍的に向上すること間違いなしだ,と,私は思います

20201031-20201106を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「質問する,問い返す」 名古谷 隆彦 ~第1回~

 

今週の話題と言えば,なんと言っても米・大統領選かな,と思います

ある程度予想されていたこととは言え,

その混戦(混乱?)度合いは,前回以上と言えるのかもしれない

何せ,次期大統領の就任式までに,大統領が決まっていない可能性もあるのですから

 

私自身は,アメリカという国について,多くを知りません

もちろん,国際的に果たしてきた役割について,知っていることはありますし,

アメリカ人の友人を通じて知っていることもあるけれど,

そこでの生活も含めたリアルについては,まったくと言ってよいほど知らない

 

だから,というわけでもないのですが,

直接アメリカ人の方々に質問してみたいことが,たくさんあります

たとえば,共和党の岩盤州で,民主党を支持する人たち(あるいはその逆)は,

何がその動機となるのか?

その立場であることで生じる生活上の不利益に,どのようなものがあるのか?

そんな不利益が生じても,民主党(あるいは共和党)を支持するのは,ナゼなのか?

投票という行動を起こさなかった人々は,ナゼ,それをしなかったのか?

数字としての結果が,どういう形にせよ,やがて判明したとき,何が起きると考えているのか?

などなど・・・

 

それを知ったからと言って,何がどうなるというわけでもないのかもしれません

けれど,それを知ったとき,さまざまな可能性を検討し,

自分にとって,より良い人生のために何をするかという材料にできるのではないか,

とも思うのです

 

人生,100回戦って,100勝するなんてことはない,としたとき,

トランプ氏が良いか悪いかは別として,

「51対49でいい,その51を取るためのあらゆる手段を取る」という戦い方は,

参考になるものだと思います

だから,トランプ氏自身にも質問してみたいことがあります

それは,「ナゼ,その戦い方ができるようになったのか?」というもの

きっとその背景に,個人の経験上の話だけでなく,

アメリカそのものがあるのではないか,と思います

20201024-20201030を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「文系AI人材になる」 野口 竜司 ~最終回~

 

 

プロ野球ソフトバンクの周東選手が,連続試合盗塁の記録を伸ばし,

日本のプロ野球記録だけでなく,世界記録も超えたとのこと

 

この記録がスゴイと思うのは,

まずは,彼が試合に出て,出塁して,そのチャンスでしっかり決めている,という点です

そもそもプロの試合に出られるということが,彼の能力の高さを示しているわけですが,

そこで13試合も連続で出塁する,あるいは,代走で出る,ということが,スゴイことです

そして,相手のピッチャーもキャッチャーもプロですから,相当な警戒をしているはずで,

そんな中でも盗塁を「決める」というのは,これまたとてつもないこと

ピッチャーとキャッチャーが「完璧」であれば,計算上盗塁は成功しないとされているからです

 

別の見方からこの記録がスゴイと思うのは,「盗塁するまで,味方が打っていない」という点です

味方であっても,その道でメシを食っている選手たちですから,個人の成績もかかっている

それでも走るまで打たない,というのは,相当な協力だと思うわけです

チームが既にリーグ優勝を決めていることを差し引かなくてはならないかもしれませんが,

だとすると,チームが優勝できるということがまた,スゴイことであるはずです

 

そして,もう1つスゴイと思うことがあります

それは,盗塁を試みるにあたっては,さまざまなデータを駆使しているはずだ,という点です

ピッチャー,キャッチャーを中心とした相手選手の動きのクセ,

カウントごとの配球のクセなどはもちろん,

さまざまなデータを,周東選手個人が,また,チームとしても,確実に分析しているはずなのです

野球の世界には,セイバーメトリクスという言葉があるほど,

データを統計として扱い,それを試合や戦力補強などに役立てていることは有名ですが,

それが恐らく非常に高度に行われていて,実際に活用していると考えられる

言うのは簡単ですが,これを実践しているのだろうと考えられることが,これまたスゴイわけです

 

このように見てくると,周東選手個人の能力はもちろんのこと,

裏方のスタッフも含めたチームとしての能力の高さが,

この記録を生んだととらえた方がよい,と思うのです

 

そしてこれは,スポーツの世界だけの話ととらえるのは,非常にもったいない

ビジネスの世界においても参考にできる,非常に優れた事例ととらえられると思います

ビッグデータだ,AIだ,なんだかんだ,と,キーワードだけを追うのではなく,

こうした実践例を想像の中ででも掘り下げていくと,

そこには役立てられるたくさんのヒントがあるのではないかと,私は思います

20201017-20201023を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「文系AI人材になる」 野口 竜司 ~第5回~

 

 

中国の動きと米国の動きとを比較したときに最近感じることがあります

それは,中国の方が,将来を見据えて,着々と手を打っているのではないか,という点です

ここに日本まで加えるとすると,

中国は戦略的な動きをとり,米国は現状に混乱,日本は遅れの取り戻しの段階

と言えるように感じる

これは,ビジネスの世界や,教育の世界でも同様です

 

何を基準に良い国,悪い国の判断をするか,は,さまざまだと思うのですが,

いずれにしても,国内政治で,権力闘争をしている場合ではないのではないか,と 

 

デジタルトランスフォーメーションという言葉を,頻繁に見るようになりました

ただ,そこで使われている文脈は,日本国内では

「デジタルへの」トランスフォーメーションであったり(要は,手作業などのデジタル化への移行),

「デジタルの」トランスフォーメーションであったり(要は,既存のデジタル技術の,他技術への移行),も含まれている

 

でも,本当の意味でのデジタルトランスフォーメーションは,

「デジタルでの」,という意味

つまり,デジタル技術を活用することで,社会を大きく変える,という意味です

それを産業革命になぞらえる方もたくさんいらっしゃいますが,

いずれにしてもそのレベルの大変革期にいる,ということ

 

産業革命により起きたことは,歴史を振り返ると明らかです

人の移動,人口拡大,大量生産・大量消費,社会の階層化・・・

 

 

技術革新とその導入は,社会に大きな変化をもたらします

しかし,産業革命が起きたときも,多くの方は

 

 まだ大丈夫

 

と思っていたはず

でもそれは,

 

 もう危ない

 

の裏返しだった,と

 

 

そのようにとらえると,私たち一人ひとりに必要になるのは,

デジタルへの対応力だと思うのです

ただそれは,デジタル技術自体を学ぶことと言うよりは,

リテラシーと呼ばれるような力なのではないか,と私は思います

20201010-20201016を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「文系AI人材になる」 野口 竜司 ~第4回~

 

 

菅首相になってから報道が増えているのは,デジタル,のように感じます

そのレベルは,決して高いものではないようにも感じられますが,

それでもある種の右往左往ぶりを冷静に感じ取れると, 

社会に与えるインパクトが非常に大きいことがよくわかります

 

政府がこの手の方針を出すと,民間は一気に動く面があります

そのひとつの理由は,政府の方針を理由に,

「抵抗勢力にあたるものを取り除きに行くのはやむを得ない」

と言いやすい面があるからだ,と思います

 

個人がこの動きに対応するのであれば,やはり今起きていることの本質をつかみつつ,

身につけるべきことをしっかりと身につけていくことだ

と思います

 

 

たとえば,統計を使いこなせる力などは,そのひとつだと思います

とは言え,それは統計学を学ぶというものではなく,

統計を使って判断したり,他者に説明したり,

統計がどう使われるのかを理解して話を聞くことだったり,

ということです

他にも,思考フレームを使いこなせる力なども,そのひとつかもしれません

マトリクス,フロー,樹形図・・・,あるいは,

5W1Hなども,思考フレームのひとつかもしれない

 

それは多くの方が経験しているものかもしれないし,

多くの方が,それぐらいは使える,と言うものかもしれない

けれど,私の経験上は,使いこなしているような方は,2割はいないと思います(どころか,1割いるかな・・・)

大手の経営層にすら,それを使いこなせない方はいらっしゃるのが現実ですし,

新聞や広告を見て,それが何を意味しているのか,考えずに行動される方が多いのも現実だからです

 

だからこそ,当たり前のようで武器になる力だ,と,私は思うのです

20201003-20201009を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「文系AI人材になる」 野口 竜司 ~第3回~

 

 

鳥貴族マラソン,トリキの錬金術とも巷では呼ばれている,

ポイントの差額を狙う行動が話題になっています

こういったものは,議論のネタとしてはおもしろいと思います

 

まず,この事業の主旨は何なのか? というのが1つ目のポイント

コロナ禍で苦しむ飲食業の,国策での支援というのが,この事業の主旨

しかし,コロナ禍で苦しいのは,飲食業だけではない,ということを出発点としたら,

この「差額狙い」を,生活の糧にしなければならない方々がいる,

という見方もできるかもしれません

もっと言えば,夜で言えば,1回目の1000円だけ自腹で,

あとはポイントで食いつなぐこともできる

 

2つ目は,制度の不備に関する点

今回の事業の抜け穴は,一律のポイント付与にある,と言えるかもしれません

ただ,運用上の負荷を考えた場合,一律であること,は,その負荷を軽減する面がある

 

3つ目は,考えられ得るさまざまな課題を洗い出し,

その課題をつぶさないと制度化できないのか? という点

もちろんそうであった方が良いのかもしれませんが,それではスピードが上がらない面もある

課題については,技術の発展もあり,いたちごっこの面もあるはずです

 

4つ目は,飲食店側も利用者側も,

この制度をしっかりと理解している人って,どれぐらいいるのだろうか? という点

利用者には,気づいた人がいたから,実際に行動した人がいて,

それが話題になっているのだろうと思うのですが,

制度自体,あまりよくわからない人も多いように思います

実際問題として,事前に話題になっていたのは, 

「こんな事業したら,コロナ感染が拡大しないのか?」というものがメインだったように思います

 

他にもさまざまな視点があると思います

 

1つ言えるのは,こうした議論をしようとするとき,さまざまな視点を洗い出してから始めないと,

判断を誤るだろう,ということ

1つ目のポイントだけからでも,「可能性」について理解が深まると,

異なる判断になることすらあると思います

 

もう1つ言えるのは,「結局それって,税金使っているんだよね」という点

これだけのことが起こると,税収は確実に減るはず

ただでさえ借金過多の中で,その増加が確実に見込まれることになる

税金の有効な使い方って,いったい何なんだろうか? 

そもそも税金って何なのだろうか?

 

そう考えると,大きな政府と小さな政府との議論にたどり着けるかもしれないし,

自由,平等といった概念についても,議論を深める必要があることにも気づくかもしれない

方針というものが必要な理由にも気づけるのかもしれない

 

せっかくなのだから,そこまで議論を深めたらいいのではないかな,と,

個人的には思うのですが,なかなかそこまで行かないんですよね・・・(苦笑)

20200926-20201002を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「文系AI人材になる」 野口 竜司 ~第2回~

 

 

日本の証券取引を一手に担と言っても過言ではないシステムで,障害が発生

終日取引が停止されました

翌日,全面が「-」で埋め尽くされる新聞紙面は,

ある種の爽快感すら漂いました

もちろん,当事者のみなさんにしてみたら,たまったもんではないのですが・・・

 

この件,少なくとも2つのシステム障害が起きていたことになります

メインのシステムで障害が起きた後,

バックアップへの切り替えが,うまく行かなかったのが原因だった,

とのことだからです

 

そこで私が疑問に思ったのは,障害が発生したこと自体に対してではなく,

「ん? でも,バックアップへの切り替えって,年に数回程度はテストしてるよね?」

ということ

土日の取引はないわけですから,テストができる環境にはあっただろう,と思ったのです

 

もちろん,テストをしていても,システムが機能しなかった可能性もあるわけですが,

だとしたら,実際に障害が起きたときを想定して,テストしていたのだろうか?

 

 

ITシステムに障害はつきものです

外部からの攻撃だってありますし,システム内部に潜在的なバグがある場合もある

性能劣化だって,当然起きる

それ自体を想定して,運用というものは組む必要がある

 

システムが当たり前に動いていると,そのことを忘れがちです

確かに技術やしくみでできることはたくさんあるけれど,それを過信してはいけない

だから,対応する人が必要だし,それを見越して運用設計し,稼働中でもテストをする必要がある

 

そういった基本的なことをしっかりと理解していないと

後になって問題が発生し,そして,多額のムダなコストが発生することになる

そんな当たり前のことを,このシステム障害は教えてくれていると私は思います

20200919-20200925を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「文系AI人材になる」 野口 竜司 ~第1回~

 

 

今週も,大きな不正や不適切,が話題になっています

「そこまで叩く必要があるのだろうか」というものであったり, 

「それは不適切ではなく,不正だろう」というものも含めて,

マスコミ,SNS問わず,情報の不適切処理,不適切対応も多くあるように思います

 

「その背景は何だろうか?」と思った時,

そのひとつとして,価値基準のあいまいさ,があるように感じます

 

たとえば以前のマスメディアは,

今よりももっともっと対権力に,価値の重点を置いていたと思うのです

つまり,権力が正当に行使されているのかを,国民の目線で追うのがマスメディアだった

でも,今のマスコミって,個人を必要以上に攻撃する

罪を憎んで人を憎まず,ではないですが,人を攻撃したって,何の課題解決にもならないはず

もっと良い社会,もっと自分が幸せになる社会にするために,

攻撃すべきは,コト,と言うか,それを生み出したしくみ,と言うか,そういうものだと思う

 

 

マスメディアに限らず,それをする前提になるのは,

 権利を行使するからには,義務を果たす

といった,共通の価値基準だと思います

 

お金をいただくなら,求められている仕事をする,とか,

要求するなら,根拠を示す,とか,

良いトコ取り,ではなく,一貫した立場で自分の意見を述べる,とか,

自分の権利を主張するなら,他者の権利の侵害もしない,とか

 

それは,

 筋を通す

ということ,あるいは,道理というものでもあると思います

 

そのような共通の価値基準がないと,

技術が暴走するのではないか,あるいは,

技術的には可能だけれども,それを使う場面がないといったことが起こるのではないか,

とも思うのです

なぜなら,共通の価値基準がないのに,利益背反するようなことの判断はできないから

 

自動運転の課題は,既に技術的な問題ではなく,

たとえば,事故が起こりそうになったとき,

1人が傷つくか,多数が傷つくか,そのどちらを取るのか,といった問題になってきているそうです

有名な「暴走列車」の問題と同様の問題

 

つまり,価値基準の問題に答えを出す必要が出てきているのですから,

論理的に一貫性を持った価値基準である必要がある

 

答えを出さないと先に進めない

こういうものにこそ,本当の意味での議論が必要なのだと

私は思います

20200912-20200918を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「1兆ドルコーチ」 エリック・シュミット, ジョナサン・ローゼンバーグ, アラン・イーグル ~最終回~

 

 

新しい内閣が発足しました

発足直後の内閣支持率は,日経新聞によると74%と,

記録のある1987年以降で3番目とのこと

このことは,何を意味しているのでしょう?

 

まずこの数字を上回った2つの内閣は,小泉内閣と鳩山内閣

「自民党をぶっ壊す」がメッセージとされた内閣と,旧民主党が与党となった内閣です

それだけ変化が求められた内閣に迫る勢いだ,ということは,

安倍内閣に,どれだけ国民の閉塞感があったか,ということを示している

 

一方で,支持理由は,人柄,安定感,自民党中心の内閣がTOP3ですから,

「大きな変化は,求められていない」こともわかります

 

 

ただ,「そのように読めること」を「どの程度のこととしてとらえるか」は,

支持率の求め方を理解した上で,行うべきでもある

 

日経新聞の調査は,携帯電話含め,電話番号をランダム抽出し調査するもので,

回答率47.6%の中で得られた1007件を集計した結果です

ここからは,仮に調査手法として問題なかったとしても,

前後で±2.5%程度のブレが想定されることがわかります

計算方法などは示しませんが

 

また,回答率は半分に満たないとのことですが,

電話に出なかった非回答と,

電話には出たけど内容を言ったら拒否されたのとでは,意味が異なります

支持の聞き方も,支持か不支持かとだけ聞いたのか,

支持する,どちらかと言えば支持する,どちらかと言えば支持しない,支持しないの4択,

あるいは,どちらでもない,を入れた5択で聞いたのかでは,

集計結果が異なります

 

同じ日経新聞が調査した結果と考えれば, 

質問方法や集計方法を,今回の調査から変えた可能性は検討しない方が良いのかもしれませんが,

それでも,携帯電話が含まれている,含まれていない,とでは,影響は避けられないのです

 

 

他の内閣発足時のデータを見ていないので何とも言えない部分はあります

しかし,このようにみてくると,

発足した内閣が,本当に過去3番目の支持率なのか,と言われれば,そうとは言い切れない

まして,内閣支持率74%は正しいのか,と言われると,

日経新聞の調査の仕方であれば,その周辺にはなるのだろう,という答えになる

参考まで,他社調査では,

この内閣の発足時支持率65%の朝日新聞や,64%の毎日新聞といった結果が出ているようです

 

 

それでも,この内閣に対する現時点での期待は大きいと言えると,私は思います

そして,期待が高い分,やることをやらないと一気に否定される面があることも,

忘れるべきではないのだと思います

20200905-20200911を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「1兆ドルコーチ」 エリック・シュミット, ジョナサン・ローゼンバーグ, アラン・イーグル ~第4回~

 

 

米国に続き,英国も,「自国都合主義」に走るような動きをしています

同国で生まれてきた人々が築き上げてきたものを

自らの手で葬り去ろうとするその行為について,考える必要があると思います

 

ただこれは,非難の話ではありません

英国という国が置かれている状況が, 

その行為,行動により,実際に失われるものとの関係から考えたいことです

 

失われるもの,とは,信用・信頼に他なりません

 

ドイツや日本が,武力による侵略の歴史を背負うのはナゼか?

中国が,世界2位になるほどの経済大国に成長したにも関わらず,

国際的な信用に欠けるのはナゼか? 

 

一朝一夕に築き上げられるわけでもない物であり,

一方で,たった1つの過ちで失うことすらあるひどく脆い物,

それが信用・信頼というものの本質だと,私は思います

そんな本質を持つ物と引き換えにするほどの行動を,

今,行う必要があるほどの状況に,英国は置かれているのだろうか?

そして,その判断は,過去の偉人たちをも凌駕するほど,説得力のあるものなのか?

 

 今日の10円,明日の100円

 

今,食うに困っている人々に,今,それをしなければ,餓死を免れない人々に,

法による秩序の話をしても,まして,倫理・道徳にまつわる話をしても,まったく意味を持たないはず

もちろんそれでも倫理観に基づく行動を選択する人は多いのでしょう

でもそれは,個人の価値観にも依存する

 

ただ今考えたいのは,個人の価値観に依存する話ではありません

今得られる価値と,将来に渡って得られるだろう価値との比較の話です

そのようにして世の中の動きを見て,考えることも,

私たちが生きる上での大いなるヒントを与えてくれる,と私は思います

90420200829-20200904を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「1兆ドルコーチ」 エリック・シュミット, ジョナサン・ローゼンバーグ, アラン・イーグル ~第3回~

 

 

後継総理は菅氏の就任が濃厚の情勢です

短期政権,との予想もあるようですが,

誰がなるにせよ,「ありたい姿」を明確に語ってほしいと,心から思っています

 

今週,子どもの幸福度に関するユニセフの調査結果が公表されました

もちろん,他国との比較は,実質面を表すわけではありません

ただそれでも,日本という国の現実と未来に,子どもたちが悲観的であることを表しているのではないか,

と感じ取ることができる

 

そして,子どもたちが悲観的だということは,

その親世代の置かれている状況がそうさせている,と予想することもできる

「この国に対する疑い,疑念」が,親世代の中で蔓延している

 

 

この世の中は,誰が何と言おうと,競争社会です

その事実を隠そうとしても,隠し通せるはずがない

ただ,「フェアな競争ができる社会」であると「信じられれば」,それに挑もうとする意欲も湧くのではないか?

 

だから・・・

 「結果の平等ではないけれど,機会の平等が保障される社会をつくる

 そのために,まずは○○と○○をやる」

といった,根本的なことを示してほしいと,私は思います

 

そして,日本が目指す姿とは,

本当の意味での平和主義や,SDGsにあるような「持続可能な社会づくり」であって,

そこに反するような理念,行為・行動を,まずは政治の世界からなくしていく姿を見せるべきだ,

とも思うのです

 

菅氏が圧倒的優位になっている背景だけを見ると,その願いは空しいものなのかもしれない

それでもまだ,チャンスはある,と思います

たとえば岸田氏や石破氏を要職に就け,

また,腰巾着で台頭されたような方々を排除するような人事を行えば,政治の本気を見せられる

派閥に属さない人材がトップの,短期が予想される政権であるなら,

それぐらいのことはやっていい,と,私は思います

20200822-20200828を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「1兆ドルコーチ」 エリック・シュミット, ジョナサン・ローゼンバーグ, アラン・イーグル ~第2回~

 

 

安倍首相の辞意表明,

国会議員先生方の逮捕に関する話題に,持続化可能給付金の不正取得事件の話題,

相変わらずのトランプ節,中国の軍事的な動き,に

ハッカーによる企業への攻撃問題などなど,

触れたい話題の多い1週間でした

 

その共通点を1つ挙げるとするなら,「予想された範囲の出来事」ということ

安倍首相の辞意表明はともかく,

さまざまな問題を引き起こす土壌が,日本に,そして,今の世界には存在する

 

そんな土壌ができあがってしまった大きな原因のひとつは,「教育」だと私は思います

もちろん,その中身にも問題はあると思いますが,

しかしそれ以上に,「教育の機会」という点に,私は大きな課題を感じます

 

世の中には,隠しようのない現実というものがあります

過去というものが存在しますし,それは消せません

競争のない社会なんて,実際問題としてあり得ないですし,

宗教観や文化観等に依存する部分があるとは言え,事には善悪が確実に存在します

そういった事実を学べる機会に,

その事実を隠そう,隠そうとする

いくらこねくり回しても,何の解決にもならないのに・・・

 

必要なことは,現実を直視し,その現実を乗り越える武器を身につけること

つまり,その機会をとらえること,むしろ,そんな機会を作ることだ,と思うのです

 

その意味で,徒競走で手をつないで一緒にゴールとか,お遊戯会で全員主役とか,

悪いことをしたのに,「みんないい子」と言って,悪を教えないといった,

現実を直視する機会を放棄する,あるいは,その機会を提供しないような方々に,

教育を語ってほしくないな,と思います

20200815-20200821を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「1兆ドルコーチ」 エリック・シュミット, ジョナサン・ローゼンバーグ, アラン・イーグル ~第1回~

 

 

新型コロナウイルスに関するデータについて,

東京都が国の定義とは異なる定義を用いて,集計,国に報告していたとのこと

都の担当者は,「厚労省には報告した,省内の連携が不十分だったのでは」と語っているようですが,

そんなレベルの問題ではありません

 

データを集め,統計として示すのは,「的確な判断のため」です

都が「自分たちの独自解釈の基準の方が的確に判断できる」と考えるのはある意味勝手ですが,

それは,自分たちの判断用に用意し,算出すればよいだけの話です

国が集約し,統計として用いることが明白なのですから,

「自分たち独自の基準のデータで,国に報告して良いのでは?」

と考えること自体が浅はかですし,時間のムダです

 

極端なたとえをするなら,

重さの数値と,長さの数値,基準の異なるものを足し合わせることの是非を,

都は発議し,検討し,通し,国に相談したようなもの

それが大きな問題を含むことは,小学校の3,4年生でも判断できます

まして,「それを同じ言葉を違う定義で扱おう」と言うのですからタチが悪い

 

恐らく,担当一人ひとりは,これが最適,これをやればメリットがあると考えたのでしょう

局所的にはメリットが大きく見える場合もあるでしょうから,

一人ひとりが判断を誤ることがあるのは仕方がないことですし,避けられない面もある

でも,だからこそ,組織があり,しくみというものがあるはず

一人ひとりが起こし得る誤りを是正するためです

 

今回のケース,小学生でもわかる誤りであるにも関わらず,

都も国も,そのしくみの中で是正できなかった

もちろん関与した一人ひとりの問題もあるのでしょう

でも,組織として「目的に基づく判断のしくみが機能していない」ということでもある

 

こういう機会を真正面から受け止め,

職員一人ひとりが,目的ベースで判断できるようになるしくみと

一人ひとりの誤りを是正し,目的ベースで正しい判断ができる組織としてのしくみと

2つのしくみの再構築を,都にも国にも,本気で行ってもらいたいと思います

20200808-20200814を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「リモートワークの達人」 ジェイソン・フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン ~最終回~

 

 

この1週間は,何があっても毎年,過去の戦争を振り返ることが必要なのだと思います

そして,毎年毎年振り返っても,新たに勉強することもある

今年は新型コロナウイルスが感染拡大していることもあり,

「日本の戦死者の多くが,攻撃によるものではなく,マラリアなどの感染症によるものだった」

というような内容のものが多いようにも感じますが,

同じことでも,焦点の当て方が変わり,それを深く知るにつれ,

事の本当の姿を理解できる,ということなのかもしれません

 

甲子園での高校野球が,例年とは異なる形で行われていますが

これも,さまざまな角度から見ることではじめて,

事の本当の姿がとらえられるのではないかと思います

 

甲子園で野球の試合をする経験という点では,

これまで甲子園を経験された方々を同じ経験をしているのかもしれません

でも,今年は,その意味合いや位置づけなど,多くの点で異なる

 

高3生にとっては最後の夏に,勝つ経験も負ける経験もできなかった

それまで,本当に野球だけしかやって来なかった選手も多数いると思いますが,

その経験ができなかったという事実が,

これからの彼らの人生に与える影響は非常に大きなものだろうことは,

想像に難くないわけです

それは小6生でも中3生でも同じでしょうし,大学4年生も同じこと

もちろん,他の種目でも,文科系の活動でも同様のはず

 

きっと,「俺たち,私たちの気持ちなんかわからない」と,彼らは言うでしょう

そうではあっても,「その経験をどう活かすのか?」を問うこと 

彼らしか経験できなかったことを活かしてもらうには,さまざまな視点を提示することを通じて,

彼らにそれを考えることを促すことが,

当事者足りえない私たちにできることなのではないかと思います

20200801-20200807を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「リモートワークの達人」 ジェイソン・フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン ~第3回~

 

 

この1週間のキーワードは,「グリット=やり抜く力」,だったのかもしれません

 

大相撲の世界で,大関まで経験した力士が,

幕下以下にまで陥落後,幕内優勝するなどということは,

誰も想像できなかったのではないか,と思います

ビジネスの世界の話にたとえるのは難しいのですが,あえてたとえるなら,

ある企業のCOOまでやった人が,アルバイト生活を余儀なくされたものの,

それでも何とか踏ん張り,這い上がり,

大きなPJで成果を出し,次のポジションが約束されるまでになった,

というようなものかもしれません

 

単純な確率論で考えれば,ほとんど無理,限りなくゼロに近い物語

それでも,その物語を実現する人がいる

 

古い歌に,「足をくじけば 膝で這い,指をくじけば 肘で這い・・・」というものがありましたが,

そのレベルで諦めなかった,努力し続けた,と言えるのかもしれない

本当にハイレベルの,頂点にあたるようなグリットというのは,

そういうレベルのものなのかもしれない

 

それは,非常にハイレベルなことですし,並の人間にはできないことかもしれません

それでも,一歩一歩でも,その域に近づくことはできると思うのです

 

サッカーでは,Jリーグが創設された時代のヒーローが,最年長出場記録を更新しました

メジャーリーグの大谷選手は,残念ながら,

今期の以降の試合は,打者でのみの出場になるようですが,

それでも,来期の二刀流復活を目指すようです

 

本物のプロのスポーツ選手というのは,自分のやりたいことをやるのはもちろんのこと,

やり抜く力というものを,ありありと,現実のこととして,私たちに見せてくれる存在であり,

何かをやろうとする勇気を後押ししてくれる存在なのかもしれません

そしてそこには,表には出てこない,周囲の方々の本気の支援,応援があったのではないか,

とも思います

20200725-20200731を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「リモートワークの達人」 ジェイソン・フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン ~第2回~

 

 

4~6月期の経済に関わる各国,あるいは,企業の数字が続々と判明しています

アメリカの実質GDPが,統計史上過去最大のマイナスを示した他,

日本の輸送関連の巨額の赤字など,

ある程度予想されたとは言え,やはり深刻,と言わざるを得ない経済状況だと思います

 

そんな中でも,対前年でプラスとなっている企業もあるのも事実です

GAFAは,グーグル除き,プラスのようですし,

ヤマト運輸なども,前年の赤字から一転,この四半期はプラスとのこと

つまり,リモートワークに

直接的に,また,間接的に対応する業態の企業が好調だ,ととらえられる

 

この事実を冷静に考えると,今後の社会の常識は,

 リモートワークに強い企業は,これからの世界で強い

ということなのだと思います

 

そうだとするならば,

緊急事態宣言を受けて,原則在宅勤務にしたものの,

宣言解除後に,原則オフィス勤務に戻し,

この状況下で,再度原則在宅勤務にしたという企業の一部は,

本気で反省しなければならないのかもしれません

 

特に,原則在宅勤務を継続できたのに,それを選択しなかったとしたら,それは問題では?

と,私は思います

20200718-20200724を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「リモートワークの達人」 ジェイソン・フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン ~第1回~

 

 

1日で明らかになった新型コロナウイルスの感染者数が最大を記録したこの週,

一方では,「Go To トラベル」事業がスタートしました

小池都知事の言葉を借りれば,

「ブレーキを踏みながら,アクセルふかしている」ということなのでしょう

 

私は,「ブレーキを踏みながら,アクセルふかすこと」が,必要だと思っています

ただ,政治はそれを明言していませんし,

メッセージの弱さを含めた進め方のまずさは,多くの方が指摘する通りだとも思います

 

感染抑制と経済活動の両立を目指そうとするとき,

コロナ前と同じというわけにはいかないことは,多くの方が認識していることだと思います

だとすれば,たとえば,観光関連産業支援の目的だけではなく,

リモートワーク等々含め,外出を制限される分のリフレッシュの機会として

Go To事業を位置づけたら,もっと有用な事業にできると思うのです

制限に対する慰労というような意味も込めたものにする

それは,全国一律,一斉の機会にする必然性はないのではないか? と思いますし

旅行だけでなく,飲食にも展開すればよいと思う

(と言うより,飲食の方が,先に進められるはずなのですが・・・)

 

今からでも遅くないと私は思います

そもそもの方針として,「ブレーキを踏みながら,アクセルをふかすのが方針だ」と言えば良い

そして,その具体的な在り方は,一律実施ではなく,グループ単位実施

 

ただ,具体的な施策の検討にあたっては,現場のリアリティが必須だと思います

今の通勤電車,密だと思いませんか? どこよりも,通勤電車が密なのでは?

感染者数の拡大を受けて,再び在宅勤務に切り替えた企業もあるとのことですが,

今,切り替えられるぐらいなら,ナゼ原則出社に戻してしまったのでしょうか?

私は,通勤電車の密の度合いを知らない,リアルを知らない政治家,官僚,経営者の方が多すぎるのではないか? と危惧しているのですが・・・

 

 仕事はリモートが原則

 だから,Go To事業の価値も高まる

 

このシナリオは悪くないと,私は考えていますが,

なかなかそうはならないようです

20200711-20200717を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「世界「倒産」図鑑」 荒木 博行 ~最終回~

 

 

日本国内での関心は

新型コロナウイルスの感染拡大とGo To トラベル事業,

そして,大きな被害が出ている豪雨影響に集まっていると言って良いかと思います

もちろんそれらは私の気になる話題でもあるのですが,

「今とこれからの社会問題の解決のヒント」という意味で私が注目しているのは,

ツイッターで発生している著名人のアカウント乗っ取り事件です

 

この事件,

ハッカーが,人間の心理的な隙やミスを突いて機密情報を漏らすように仕向ける

「ソーシャルエンジニアリング」という手法を使い,

少数の従業員から資格情報を盗んだことが原因となっている模様

つまり,ITシステムの脆弱性には問題がなかったようなのです

 

これを受けてメディアからは,従業員の管理体制の甘さを指摘する声もあるようですが,

うーん・・・

 

新型コロナの第2波下で,再度在宅勤務など,リモートワークが拡大することが予想されています

ヤフーやユニリーバ等がこの1週間で発表した「副業人材の雇用」においても,

リモートワークが原則とされていることも合わせて考えると,

リモートワークの拡大は,今後の組織の生き残りに向けた,必須対応課題だと思います

 

リモートワークをメインとするには,これまでと同様のセキュリティ対策では不十分な場合も多いと予想されます

当然見直しが必要になるわけですが,

技術で解決するには限界があることが,ツイッターの事件で明らかになった

 

ではどうするか?

もちろん,教育や管理の拡充も必要な面があると思うのですが,

もっと「人間らしさ」に注目すべきではないか,とも思います

 

それはたとえば,家族のような組織をつくることかもしれない,と私は考えています

明確な役割があり,それを果たしつつ,家族の一員として扱われる組織

家族の一員が,家族を崩壊させる動きをあえては取らないだろうという,人間らしさに注目しているわけです

 

こう書くと,しくみが示せていないので,

過去の日本型組織と同じ物を想像するかもしれませんが,そうではありません

今流の言い方をすれば,ジョブ型を内包するメンバーシップ型,と言うのかもしれない

 

いずれにしても,そんなコンセプトを持つ組織が,

実は,セキュリティに強い組織であり,今後の日本型の組織なのではないか

というのが,今,私が思い描いている仮説です

20200704-20200710を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「世界「倒産」図鑑」 荒木 博行 ~第4回~

 

 

東京都知事選は,投票締め切り直後に小池氏に当選確実が出る状況でした

22名が乱立した選挙でしたが,極めて無風

ただ,この結果は,容易に予想することができました

「混乱下」にあるとき,人には安定志向が働きがち,

まして,有力な対立候補がいない状況だったからです

 

そこで気になるのは,「有権者は,この結果を予想した上で投票したのだろうか?」という点です

 

仮にこの結果を予想したとしたとき,大きく2つ行動が考えられたと思います

「ベター」で投票するのか,「問題点はあるよ」と指摘することを目的に投票するのか,です

東京都の場合,無党派層が4割程度はいる,と考えられていますが,

このうち6割程度が小池氏に投票した,と推定されるようです

もちろんこの中には,同氏のこれまでの都政を評価,支持して投票した人もいるでしょう

しかし,「ベター」で,同氏に投票した方も,きっと多数いるのではないか,と推測できます

その方々が,どの程度,「問題点があることを指摘することを目的に投票すること」を「検討」したのか?

つまり,「考えたのか?」が,気になるのです

 

 

たまたまテレビを見ていたら,東大の児玉名誉教授が,新型コロナウイルスに関して,

「ナゼ,日本を含む東アジアで,感染者数やその死者が相対的に少ないのか?」,

研究を基にした事実と,その事実からの仮説を提示されていました(あくまで仮説,です)

その内容以上に印象に残ったのは,

「専門家というのは,意味ある情報を提供しなければ,存在する意味がない」

との主旨の発言を,感極まった様子で(涙ぐむような様子で)語られたことでした

 

児玉名誉教授が提示したのは,あくまで仮説です

その仮説の是非も問われることだと思います

ただ,その仮説に,専門家として本気で取り組み,考えていることは,少なくとも私には伝わりました

「専門家って,そういうものだろう」という気概を感じたし,

そこに本気であること,熟考していること,を感じた

そして,思ったのです

「都知事選について,どれだけ熟考したのだろうか?」と

 

 

私たちは,考えるという行動に,もっと真摯であった方が良いと思うのです

真剣に考えたことは,結果として行動に現れる

だから,それぞれの立場で,真剣に考える

 

ちなみに私は,「After コロナは,幻想」ととらえるようになりました

「With コロナ(≒今後の日常)」や「Under コロナ(≒緊急事態宣言下レベル)」

と,とらえた方が,もっと考えられることがあると思うからです

これも,考えた結果のひとつなのかもしれません

20200627-20200703を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「世界「倒産」図鑑」 荒木 博行 ~第3回~

 

 

東京都が,テレワークの定着向けて,対策を練っているとのこと

これまでの小池都政の流れを考えると,

恐らく何らかのスローガンと言いますか,ワンフレーズ・ポリティクスと言いますか,

が提示されるのでしょう

(この記事の執筆時点では,小池都政が続くと決まっているわけではありませんが・・・)

 

ワンフレーズ・ポリティクスは,広めやすいというメリットがあります

一方で,誤解される可能性もあるという点で,諸刃の剣だとも言えるのだと思います

同じく諸刃の剣という点では,数値も同様なのかもしれません

東京都が,新型コロナウイルスの感染拡大状況把握のための

新たなモニタリング項目を発表しましたが,

これまで提示されていた数値基準は示されませんでした

数値基準が諸刃の剣であることを認識したから,なのかもしれません

 

ただ,今回の東京都の方針には,わかりにくい,という批判があるようですし,私も同様に感じます

数値基準を目安として示した上で,それだけでは判断しない,とした方が良かったように思うのです

これは,学力テストを考えるとわかりやすい

「学力テストだけからは判断しない

なぜなら,点数や偏差値などは,その時点の現実であり,過去の経緯を示すものに過ぎないものだから

評価は,未来のために行うのだ」

 

未来のために考える

そのために数値を用いる

 

もし,「多くの人が,数値を用いて適切に考えることができない」と仮定するのなら,

それは,数値や基準が問題なのではないと,私は思います

なぜならそれらは,道具に過ぎないからです

では,どこに問題があるのか?

私は,自由というものが当たり前になり過ぎていることが,ひとつのポイントだと思っています

自由は決して当たり前ではない

それは,7月1日に中国が施行した法律とその影響から,大いに学べると思います

20200620-20200626を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「世界「倒産」図鑑」 荒木 博行 ~第2回~

 

 

各種不正の問題が多く明らかになった1週間だったように感じます

政治家夫婦の逮捕は,多くの地方議員等々の贈賄問題に発展していますが,

これが氷山の一角であろうことは,

受領した側の「これはそういうことだろうな」といったコメント等々からも読み取れます

本当に滅多にない話で経験がないことだとするのなら,そうは感じ取れないはずなので

 

企業関連の不正では,

ドイツのワイヤーカードの19億ユーロもの不正会計問題や,

日本のAI開発のスタートアップで,元取締役が横領問題を起こしていた件などがありました

これらは企業の倒産に直結しかねない問題ですが,「いつかはバレる」種類のものなので,

ナゼ,これをやったのか? の方がしっかりと知りたい

各企業にお金や労働時間も含めて,

広い意味で投資されている方々にしてみたら,たまったものではないでしょうが

 

実はもうひとつ,私が気になった不正があります

それは,アイコスの景品表示法違反です

安く購入できるキャンペーン実施と称するも,実は,延長,延長をくり返し,

実質いつでも同じ値段で購入できるものだった,というものです

その追徴税は5.5億円なのだそうですが,それを高いと思うのか,それとも安いと思うのか?

タバコという嗜好品が,継続購入される性質を持つことを考えたとき,

その効果とを考えたら,もしかしたら安いのではないだろうか? 

同社は,法令遵守の徹底をするとのコメントを発表していますから,

意図的ということはないのでしょうが,

仮に意図して出来てしまうことでもあるのなら,

結果的に,国が悪い形で保護に加担してしまったということになるのではないか,とも思います

20200613-20200619を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「世界「倒産」図鑑」 荒木 博行 ~第1回~

 

 

同じ事実であっても,取り上げ方,見方によって,

まったく異なるものが見えてくることがあると思います

たとえば,今週のメルマガの編集後記で取り上げた話題に,

在宅勤務の拡大に伴う通勤手当の支給の仕方の変化に関する記事がありました

元の記事は,日経新聞の社会面に掲載されていたものなのですが,

そこでの見出しは,「将来,年金が減る可能性有」でした

 

もちろん,通勤手当が社会保障費の算出利用されるのは事実であり,

その手当が削減されれば,社会保障費として納める額は変わります

納める社会保障費が減れば,その性格上,将来の年金支給額にも影響はします

けれど,ん?

「将来の年金が減る可能性があるから,通勤手当は定期代を支給するよう求めろ」

というメッセージなの?

単純に,「通勤手当は定期代じゃなくなっていく(と思う)よ」というメッセージなの?

それとも,「その分,貯蓄などを考えよ」というメッセージなの?

私は見出し上,

「通勤手当は定期代支給を要求しろ!」とのメッセージとして受け止めたのですが・・・

 

雇用される側の立場に立てば,

確かに定期代として,その額を支給されれば,

仮に休日に同一区間の公共交通機関を利用しても,身銭を切る必要がなくなりますし,

社会保障費のことまで考えれば,そちらの方がありがたい話だと思います

けれど,「通勤手当というもののを性格を,どこまで受け止めた上での発信なのだろうか?」

と,考え込んでしまったのですが・・・(私の勘違いなら良いのですが・・・)

 

さまざまな情報というものは,事実の顔をしているものであっても,

何らかの意図の下で発信されています

実際私の発信にも,意図が込められています

(ちなみに,私の発信の意図は,

 私も含めみんなが適切に判断できるようになろう! というものですが)

もちろんその意図通りに読んでいただくのか,違う読み方をされるのか,

それは読者であるみなさんにお任せすることです

ただ,少なくとも自分で判断できるようになることが大切だと思っていますし,

適切な判断は,発信内容をしっかりと見極められる力をつけることに始まると思っています

今の世の中では,そんな力がより求められているのではないか,と思うからです

20200606-20200612を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口 幸次 ~最終回~

 

 

同じ事実であっても,取り上げ方,見方によって,

まったく異なるものが見えてくることがあると思います

たとえば,今週のメルマガの編集後記で取り上げた話題に,

在宅勤務の拡大に伴う通勤手当の支給の仕方の変化に関する記事がありました

元の記事は,日経新聞の社会面に掲載されていたものなのですが,

そこでの見出しは,「将来,年金が減る可能性有」でした

 

もちろん,通勤手当が社会保障費の算出利用されるのは事実であり,

その手当が削減されれば,社会保障費として納める額は変わります

納める社会保障費が減れば,その性格上,将来の年金支給額にも影響はします

けれど,ん?

「将来の年金が減る可能性があるから,通勤手当は定期代を支給するよう求めろ」

というメッセージなの?

単純に,「通勤手当は定期代じゃなくなっていく(と思う)よ」というメッセージなの?

それとも,「その分,貯蓄などを考えよ」というメッセージなの?

私は見出し上,

「通勤手当は定期代支給を要求しろ!」とのメッセージとして受け止めたのですが・・・

 

雇用される側の立場に立てば,

確かに定期代として,その額を支給されれば,

仮に休日に同一区間の公共交通機関を利用しても,身銭を切る必要がなくなりますし,

社会保障費のことまで考えれば,そちらの方がありがたい話だと思います

けれど,「通勤手当というもののを性格を,どこまで受け止めた上での発信なのだろうか?」

と,考え込んでしまったのですが・・・(私の勘違いなら良いのですが・・・)

 

さまざまな情報というものは,事実の顔をしているものであっても,

何らかの意図の下で発信されています

実際私の発信にも,意図が込められています

(ちなみに,私の発信の意図は,

 私も含めみんなが適切に判断できるようになろう! というものですが)

もちろんその意図通りに読んでいただくのか,違う読み方をされるのか,

それは読者であるみなさんにお任せすることです

ただ,少なくとも自分で判断できるようになることが大切だと思っていますし,

適切な判断は,発信内容をしっかりと見極められる力をつけることに始まると思っています

今の世の中では,そんな力がより求められているのではないか,と思うからです

20200530-20200605を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「ケーキの切れない非行少年たち」 宮口 幸次 ~第1回~

 

 

アメリカで,白人警官による黒人暴行死事件を発端にしたデモが全米に拡大,

一部が暴徒化しているようです

トランプ大統領は連邦軍の動員を検討すると発信していますが,

この発信に対し,元はトランプ大統領を支える立場だったマティス氏やケリー氏も

非難しているとのこと

中国政府の民主化運動の武力制圧から31年にあたる週で,

また,香港に対する圧力ともとれる法整備の推進の方針発表直後に,

なんとも言えないタイミングの悪さを感じます

 

ただそれ以上に,この件については,

いくつか考えられること,学べることがあるのではないかと思います

それは,ナゼ全米にデモが拡大したのか,という背景であったり,

それがナゼ暴徒化にまで至るのか,ということであったり,

軍組織というものの性質であったり,といったことです

 

デモの背景については,根強い差別と格差拡大が根底にあるとの見方が一般的ではないかと思います

そこに新型コロナウイルスの感染拡大による失業率の上昇が重なり,

仕事があり収入があれば抑えられていたものが,一気にあふれ出した・・・

一定ラインを超えたとき,大きな問題が雪崩のごとく起きると考えれば,

自分のためにも,一定ラインを超えないようにすることが必要であり,

自分さえ良ければ思考,自分総取り思考が大きな問題であることを,事実としてつかめると思います

 

一部の暴徒化については過激派組織があおっている,との見方があるようです

これは,日本で話題の「自衛警察」なるものや,ネット上の誹謗中傷と,

構造的には同じものと見ることもできそうです

何を正しいとするかは,その立場によって変わる部分があるわけですが,

コロナ感染拡大防止というような,強者も弱者も認め,注目する正しさを大義とすれば,

それを過激化してもまかり通ると考える人たちがいて,その過激さに乗る人たちもいるのでは?,

ということです

 

軍組織というものは,絶対的な上意下達構造です

そうしなければ,組織に属する多くの人の命を守れない

するとその指示・命令は,圧倒的な大義を必要とするものだと思いますし,

そもそも「価値観の共有=立場の共有」が前提とされる必要があるだろうと思います

価値観の共有とは文化にあたるもの,という見方もできると思います

文字化されたものや,ルール化されたものだけではないものです

それは,1日で作れるようなものではありません

文化とは,そういう性質のものです

 

では,大義の不明確な,これまでの正義の価値観とは離れた指示をトップが出したらどうなるか?

 

一般的な組織や企業を軍になぞらえるのは問題があるのかもしれませんが,

ただ,軍で起きると想像される事象を例に,

自組織で何が起きるかを考えることもできるとも思います

そして,自組織の風土,文化を作っていくために必要なことも,見えてくる部分がある

 

このように,世の中で起きていることを使って,考えてみる,考えるトレーニングをする

考えるトレーニングをすると,筋の良さ,悪さというものにも気づけるようになる

そうやって考えるトレーニングを積むことが,何か重大な決断をするときに役立つのだと思います

20200523-20200529を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「ビジネスを揺るがす100のリスク」 日経BP総研 編著 ~最終回~

 

 

在宅勤務を拡大しようと思うと,

それはそれでさまざまなしくみが必要になります

いわゆる「作業」は,さまざまなサービスの利用で,実現できると思います

かつてPCの登場で,計算作業をPC上で行うようになりました

大容量NWの構築で,クラウド型のサービスが拡充もしました

そして,未だ残る旧来型のペーパー文化も電子化される方向ではあるはずです

その他にも,さまざまな技術により,

在宅勤務上の作業を実現できる環境になっていくのだと思います

 

けれど,どうしても気になる点があります

それで「思考」はどうなっていくのだろうか? 

思考しない,思考できない,が,ますます増えていってしまうのではないだろうか,と

 

さまざまな情報というものには,

ほとんどの場合,ある種のバイアスがかかっています

事実ではないと言うわけではなく,事実のある側面に過ぎない面がある

けれど,脳科学の研究からも明らかになっているように,脳はラクをしようとするもの

すると,自分1人でいたら,ある側面しか見せていない事実を,

思考なしにそのまま受け入れる方向に強化されてしまうのではないか,と思うのです

 

他者と共存し,共同して働く場にいるから, 

他者への配慮も含め,思考をする場面が,自然と用意されている

在宅勤務が拡大されたとき,思考する場面が,どうしても減ることになるのではないか?

すると,思考しないことが,ますます増加するのではないか?

そして,思考しなくなっていくのではないか?

 

そうだとするならば,考えるべきは,「どうやって思考をする機会を提示するか?」

それ自体をしくみにしていくことが,どうしても必要になるのではないか,と思います

20200516-20200522を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「ビジネスを揺るがす100のリスク」 日経BP総研 編著 ~第5回~

 

 

3府県で,緊急事態宣言が解除されました

恐らく明日25日,首都圏及び北海道でも,解除されることになるのだと思います

多くの専門家が第2波を予想するわけですが(実際そうなると思います),

その不安におびえていても,何の得にもならないと思います

滅多にない機会を経験したのですから,この期間で起きたことを振り返り,

何を学びにできるのか,何をしたいのか,考えてみると良いのではないかと思います

 

たとえばこの機会は,

不条理を学ぶ良い機会にできる可能性があると思います

毎年春夏恒例の大会が中止になりましたし,医療関係者や介護従事者は差別や偏見の目で見られました

感染したとのデマを流され,ビジネス上の被害を受けた方もいらっしゃるそうです

当事者の方にとってはたまったものではない,言葉にできないほど可哀相なことです

しかし,それを乗り越えたとき,その方は,とてつもなく強い力を持つ人になると思います

 

他にも,多くの事実を目の当たりにしています

この機に乗じて世界各国が示す,ひたすら閉じこもろう,囲い込もうとする動き,

今頃になって届き始めるアベノマスクを含め,国や自治体の対応の脆弱性,

真意を解説しないまま自説とない交ぜにして情報を拡散するマスメディア,

真偽を問わず情報を拡散するSNS,

出社しなくても,案外まわる仕事,

我先にと申請する割に,誤記入など不備の多い個人・・・

 

そんな中で私が感じ,学んだのは,当たり前のありがたさ,です

だからこそ,何を当たり前にするか,今一度見直そうと思っています

たとえば,自治体の脆弱性は,自治体業務の効率化の裏返しととらえることができますし,

個人が申請書類で誤りが多いのは,会社がとりまとめて申告するしくみがあるからともとらえられる

つまり,単純に両立させることは不可能なのですから,

どちらの当たり前を取るのか,少なくとも自分の考えをまとめたい

 

こちらを立てればあちらが立たず,というものは,他にもたくさんあると思います

勉強したくないけれど,良い成績は取りたい

仕事はしたくないけれど,高い報酬が欲しい

もっと具体的な話で言うのなら,

公的年金等々社会保険料は支払わないけど,給付や助成は受けたいといった主張や

子どもがいるからと時短勤務などで配慮されつつ,

自宅にいる子どもがうるさくて仕事ができないとする主張などは

両立不可能な主張なのだと思います

 

その判断のために,何を当たり前としたいのか主張できること

これは,一人ひとりの義務なのではないか,と思います

20200509-20200515を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「ビジネスを揺るがす100のリスク」 日経BP総研 編著 ~第4回~

 

 

多くの県で,緊急事態宣言が解除されました

それなりに人の接触数が増えることは間違いないので,

ある程度まで感染者が出ることは避けられないのだと思います

ではそこで,自分はどのように行動するのか?

 

ちなみに,私は一方的な行動自粛はしません

もちろん,自分に万が一があったとき迷惑をかける先がありますから,不必要に外出はしません

自宅でやりたい仕事,できる仕事もたくさんあります

それでも, 

対話でないと得られない情報もありますし,それが生産性の維持につながっている部分もある 

また生産性を考えると,気分転換も必要になる

それは必要な外出だと,私自身はとらえているわけです

 

要は,自分の中にどれだけ基準があるか,ということなのですが,

ただ,人間というものは,普段は直感的に判断する生き物

だから,その基準に意識的になるのがポイントだと思います

 

ナゼ,自分がその行動を選択したのかを考える

特に,その動機が内発的なものか,外発的なものかを意識し,

たとえば,報酬や罰を考えて行動をしたのか,自分の知識・スキルを上げたくて行動したのか,

あるいは他者との友好的な関係を継続したくて行動したのか,自分のプライドで行動したのかなどなど

自分が基準としたことを考えてみる

そうすると,自分がどれだけ自立・自律できているのかにも,

意識的になれるのではないかとも思います

20200502-20200508を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「ビジネスを揺るがす100のリスク」 日経BP総研 編著 ~第3回~

 

 

情報を扱う仕事をする人が,何より大切にすべきことを,

私は「正しさ」に置いています

私は編集の仕事をしていたこともありますし,

その責任を負うポジション,要は編集長もしていたことがありますので,

「正しい情報でないことのリスク」に過敏な部分があるのかもしれません

 

「正しさ」を判断するにあたって私が重要視することがいくつかあります

その1つ,情報源の信頼度は,公的機関 > 研究機関 > 民間 > 個人 と

考えるのが一般的です

また,たとえば調査研究なら,

全数調査や大規模調査の方が,インターネット調査や小規模調査よりも信頼度が高いのが基本です

つまり,「正しさ」を判別する場合,一定の原則があるわけです

 

とはいえ,「正しさ」は,扱いが難しい

正しさを「正確さ」に求めるとさまざまな条件が付き,

複雑に感じられるケースが多いというのが1つの理由です

また,例えば新型コロナウイルスの蔓延は,

人間から見れば悪ですが,ウイルスの立場からすれば正

つまり,立場によって正の定義は変わる可能性があるという点も,扱いが難しい理由の1つです

 

また,「面白くなければ他者に届かない」面が情報にはありますが,

誇大と言えるようなキャッチコピー,ウソを中心に取り上げるような構成など

正しさとはほど遠い情報の扱い方をもって,それを正義と主張する人たちもいます

そのような中で,SNS等のプライベートメディアはもちろん,

マスメディアも「正しさ」に対して益々鈍感になっている面もあるようです

 

 

このような事実から考えると,

「自分の中に,自分にとっての正しさの判断基準を作る」ことが,

今後益々必要になってくると思います

情報を発信する側が,「正しさ」に鈍感だからです

自分で考えて,正しさを判断する

 

自分で考える力,自分の身を守るために本当に大切です

20200425-20200501を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「ビジネスを揺るがす100のリスク」 日経BP総研 編著 ~第2回~

 

 

緊急事態宣言下の環境で,自衛隊が存在感を示しています

自衛隊は,普段の報道等では,対外的な軍事力の面が強調されがちです

しかし実際には,今回のような災害発生時などで,本当に大きな役割を果たしてくれているわけです

 

では,ナゼ自衛隊は,このような状況下で大きな役割を果たせるのだろうか?

その大きな理由として,

「基礎,基本にあたる活動を徹底的に教育されていること」

が上げられるように思います

 

自衛隊は,その組織の性質上,

全員が同じ行動を取れなかったら,多くの人が亡くなる可能性のある組織です

ある意味「自分の無責任な行動が,自分だけでなく,仲間をも死に追いやる可能性」がある

自衛隊員は,このような意義から,その具体的な行動も含めて,

「全員が同じ行動を取るとはどういうことか」も,基礎・基本として学んでいるわけです

 

世界は数年前と比較しても,大きく変わり,圧倒的に「近く」なりました

それは,「同じ行動をしてくれ」という機会が,未来でも起きることを示しています

呼吸器疾患系のウイルスだけ取り上げても,SARSやMERSなど,

数年に一度程度の割合で,世界のどこかで大流行が発生しています

世界のどこかで大流行が発生すれば,日本に影響がないはずがない

そのとき,同じ行動を取れない人が再び出てきたら・・・?

 

残念ながら,今のこの状況は,

「同じ行動を取れない方」が少なからず存在することを明らかにしました

これだけ毎日のように状況が伝えられても,お願いされても,です

経済的なことだけなら放ってもおけますが,

対ウイルスのようなものになると,放っておくわけにもいかない

 

あまり言いたくはないですが,

自分で考えられない,くり返し言われてもやらない,のであれば,

国民全員が,自衛隊に本気で学ぶしくみをつくることを,考える必要も出てくるのではないか,

と思います

 

自由を享受できるのは,義務を果たしているからです

義務を果たせないのなら,義務を果たせる方法を学ばせるしかないのですから

20200418-202004024を振り返る

 

【今週の一冊】

 

「ビジネスを揺るがす100のリスク」 日経BP総研 編著 ~第1回~

 

 

在宅勤務をしろ,外出するな,家にいろ・・・

政治家のみなさんはさまざまな言い方をされ,人と人との接触の8割削減を目指しているわけですが,

どうにも腑に落ちない点があります

 

 「政府の感染症対策本部の会議やら,各種の定例会議やら,は,

  なぜあの形,つまり,各大臣やらが集合する形で開かれ続けるのか?

  あの出席者の中に,感染者がいないと言えるのか? 

  彼らが行動することで,ウイルスをまき散らしていることもあるのではないのか?」

 

あの種の会議は,ほぼ,官僚が作った原稿の棒読みですし,発言者も限られる

であるにも関わらず,法律等の問題もあるのかもしれませんが,毎回集まっている

集まるのは多くても週1回などにして,他はさっさとオンライン会議に変えるべきです

 

小さなことなのですが,ある種のメッセージを送ることになっていると思うのです

「読めばわかる原稿の棒読み程度の会議でも,人が集まってOK」

「あの程度の会議スペースが確保されればOK」

などなど・・・

 

「自分たちは特別」という意識が政治家や官僚,報道機関にあるのかもしれませんが, 

仮に特別な存在であると考えるなら,率先して「8割削減」の具体的な努力の姿勢を見せるべき

そうしないから,協力しない市民が出てくるのだと思うのです

 

これは,会社という組織体でも同様だと思います

経営陣が集まって,連絡会議をされているようなところもあるようですが

それこそリスクなのですから,全会と言わずとも,

少なくとも8割は,テレビ会議に切り替えた方がよい

そうすれば,数字でも言えますよね

 「経営陣だって,8割接触削減してるよ」と